ハイテク高性能日記(フィクションです)
今日は事情により犬の散歩を引き受けることになってしまった。
我が家の愛犬「玉虫色」は玉という名前は付いているものの、飛んできたボールをナイスキャッチするというような特技はなく、普通のシベリアンハスキーである。
齢10を数える老犬なので最近はおとなしいが、それこそ昔はやんちゃで力持ちな犬だったため散歩には苦労したものだ。特に、縄をはずれて駆け回るときは家族の心胆を寒からしめたものでした。
そういえば、夜中に出かけたときの話。
夏の日だったので、できるだけ涼しい夜のうちを選び、さらに人がこないことをいいことに広場で駆け回ってもらってたときのことだ。
少し犬の姿が見えなくなったな……と思っていたが、しばらくすると戻ってきた。と、よくみると口元に髪の毛がどっさりと……どうしたことか。
その後、水をせがんでいるようなので急遽帰る事になり準備をしていたのだが、そこに金属バットを持って辺りをキョロキョロしているおっさんが視界に入った。
もしや、と思って頭をみると……ああ、やっぱり。さっきの髪の毛はこの人のものだったのだ。
幸い、シベリアンハスキーは黒い色をしているので、抱きかかえて風のように去ればバレないだろう。
そうやって走っていて、ふと振り向くとその人は消えていた。
いったい何があってあの人は髪の毛に打撃を加えられることになったのだろう。
とにかく、愛犬にケガがなくてよかったものだ。
あの人もケガは無かっただろうか。